胸に刻む「難しいは、新しい」という言葉 「ゴールドスター」ブランドマネージャー・野並祐介さんPR
新商品を生み出し、そして、そのブランドを育てていく。その与えられたミッションに立ち向かう一人が、サッポロビール株式会社で、新商品「サッポロ GOLD STAR(ゴールドスター)」のブランドマネージャーを務める野並祐介さんです。
「もともとそんなにビールに興味があったわけではない」と語っていた野並さんが、なぜブランドマネージャーを務めるまでになったのか。今回は、野並さんにブランドに込めた思いや、自身の仕事の流儀について、話を聞きました。
営業→ポテトチップス→商品開発という異色の経歴
もともと「一番身近なもので誰かを笑顔にできる仕事がしたい」と思い、食品メーカーを志望していたという野並さん。40社ほど就活をして、縁があったサッポロビールに2008年に入社します。
「正直、当時はビールに興味があったわけでもなくて。仕事をするうちに、ビールが、いや、サッポロビールが好きになっていきました」
入社してからおよそ2年半の間は、近畿圏本部に配属され、大阪や京都でスーパーの営業を担当。その後、立ち上がったばかりのポテトチップスの事業に自ら手を挙げて参加し、サッポロファインフーズ(当時)に出向。営業が3人しかいない部署で、全国を飛び回る日々を過ごします。
そして、念願叶って商品開発の部署に異動します。まず関わったのは、ビール類の開発でした。
銀座で養蜂されたミツバチが自然界から運んできたミツバチ酵母を使ったビール「銀座ブラウン」(限定商品)や、厳選した3種類のホップを用いてアルコール分7%と高めの炭酸による颯爽としたのどごしが特長の新ジャンル「サッポロ ラガーズハイ」(販売終了)、ホップ・コリアンダーシード・オレンジピール由来の香り成分を多く含み、糖質80%オフのライトな味わいが特長の「サッポロ グリーンアロマ」(販売終了)などを世に生み出してきました。
「一言で商品開発といってもやることは多岐にわたります。市場調査をしたり、原材料を視察に行ったり、試作品を作ったり。新商品のコンセプトを立案し、ネーミングやパッケージ、中味の開発をしていきます」
ビール類の次は、RTD(※Ready to Drinkの略で、栓を開けてそのまま飲めるアルコール飲料のこと)の開発に携わるように。レモン果汁にレモンの果皮、レモンオイル、レモンパルプを加えた果汁を使用した「サッポロ レモン・ザ・リッチ」や、キレートレモンのお酒である「キレートレモンサワー」などの開発をしてきました。
「特に『レモン・ザ・リッチ』は、自分の思いをすべてを注ぎ込めたなと思える商品です。サッポログループにおいて、レモンは一番の武器。レモン果汁市場で国内シェア約9割を持つポッカサッポロの知見があったからこそ実現できました。麦もホップも育種しているビール会社は、世界でもサッポロビールが唯一の存在です。原料にこだわる使命感を持ち、ここまで原料にこだわった商品を開発できたのは、サッポロらしさでもあると思いますね」
「難しいは、新しい」。そして生まれた新ジャンルの「ゴールドスター」。
計6年にわたる商品開発部の経験ののち、昨年4月から現在のブランド戦略部に配属されます。消費者の嗜好の移り変わりや酒税法の改正など、お酒を取り巻く環境が日々変化する中、開発されたプロダクトのブランドをどう育てていくかを考え、実行していく部署です。
そこでブランドマネージャーとして携わったのが、新ジャンルの新商品「サッポロ GOLD STAR(ゴールドスター)」でした。
ゴールドスターは、長い歴史とともに磨き上げてきたサッポロの二大ブランド「サッポロ生ビール黒ラベル」と「ヱビスビール」に採用している麦芽とホップを一部使用し、技術と信念をつぎ込んだ新ジャンル商品です。
「ゴールドスターをお客様に届けるためには、いろいろと決断が必要でした」と野並さんは言います。
商品のこだわりとして、黒ラベルの『旨さ長持ち麦芽』やヱビスの『ドイツバイエルン産アロマホップ』を一部使用していることが挙げられますが、そういう小難しいことを並べたところで、お客様に本当の商品の価値が伝わるのか。サッポロが磨いてきた二大ブランドが合わさった、その技術と信念を伝えることが一番いいのではないのか。サッポロビールの企業としての本気を詰め込んだ新ジャンル商品が、このゴールドスターであると、シンプルに表現するべきではないか。
すでに発売されている新ジャンルの商品との違いは何か。単純にターゲット層が違うのだろうか。飲んでくださるお客様は何を求めているのだろうか。
そうした熟考の末生まれたブランドのキャッチコピーは、「すべてのうまさを、過去にする」。パッケージには、黒ラベルらしさを感じる堂々とした星マークを採用。商品への自信と覚悟が込められています。
「ど真ん中の商品なので、本当に大丈夫なのか、社内から心配する声も聞かれました。でも、そこはみんなで覚悟を持ってやるんだと決めて。例えば、全国の営業担当者に、商品の想いを伝えて、何ができるか施策を一緒に考えてもらいました。そうすることで、一緒にやるんだという一体感が出せたのではないかなと思います」
仕事をする上で、野並さんがいつも胸に刻んでいるのは、「難しいは、新しい」という言葉。あるマーケターが出演していたテレビ番組で話していた言葉だと言います。
「仕事をしていると、難しいと感じる場面は多々ありますが、難しいからで終えてしまうのではもったいない。難しいということは新しいということ。だからチャレンジするんだという考え方に深く共感しました」
「新商品の開発はお客様に新たな価値を提供することが大事なので、難しいことの連続です。だけれど、難しいからこそ価値がある。難しいからこそ自分の成長にもつながるんだと考えると、すべての物事が苦ではなくなる気がするんです」
その「難しいは、新しい」を実践して結果生まれたのが、まさにこの新商品のゴールドスターなのかもしれません。
ビールを飲むことが楽しいと思える瞬間をもっと増やしたい
さまざまな部署を経験されてきた野並さん。一番好きだった仕事を尋ねると、「仕事はずっと好きなんですよね。部署が変わったとしても、与えられたミッションをやりきることには変わらないですし、きっとそのミッションが何であれ楽しめるんだろうなと思います」と答えてくれました。
最後に、野並さんがこれから挑戦してみたいことを聞きました。
「お客様がビールを飲むことが楽しいと思える瞬間をもっと増やしたいなと思っています。ブランドの開発はもちろん必要ですが、プロダクトだけを考えることは限界を迎えているようにも思うんです。ビール会社として、飲み方のスタイルをデザインし、お客様に提案することをもっと積極的にしていかなくてはいけないのではないかなと思っています。それが自分としても新しい挑戦になるのではないかなと、思います」
(文=五月女菜穂 写真=山田秀隆)