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CRAFTWORKERS #3

「〇〇らしさ」に自分を当てはめない AKB48柏木由紀さん、8年目ラジオMCの流儀

「国民的アイドル」を長く牽引するAKB48。同グループで2007年のデビュー以来、活躍を続けるのが柏木由紀さんです。2019年には「30歳までアイドルを引退しない」“非”引退宣言をし、アイドル像を時代にあわせてアップデートしています。

そんな柏木さん、TOKYO FMで冠レギュラーラジオ番組を持つ、8年目のラジオMCという顔も持っています。アイドルとラジオ、それぞれのプロフェッショナルとしての仕事がどのようにつながり、高め合ってきたのか。400回弱の放送を積み重ねてきた柏木さんに話を聞きました。

制作:朝日新聞デジタルスタジオ
撮影: yansuKIM
メイク:オサレカンパニー
スタイリング:下田 翼

8年目のラジオMC、きっかけは震災

──冠番組であるTOKYO FM『柏木由紀のYUKIRIN TIME』(毎週土曜日24:00〜24:30)は現在8年目。放送回数も380回を超えます。

すごく長くやらせていただいてるんですよね、意外と(笑)。

──意外と、なんですね。

そうですね、「長く続けたい」と必死にやってきたというわけではなくて、好きなことをしゃべることができて楽しい、って感じで、気づいたら長く続いていました。

──ラジオをスタートしたきっかけは。

実は、2011年3月11日の東日本大震災なんです。

当時、私はAKB48から派生したユニットのフレンチ・キス(2015年に解散)に所属していて。震災の被害を目の当たりにしたときに、「なにか私たちにもできることは」とユニットメンバーで話し合いました。そこで「ラジオなら被災地でも聴きやすいんじゃないかな」って。それが「YUKIRIN TIME」の前身の『フレンチ・キスのKissラジ!』という番組でした。

初回がいきなり、生放送だったのを覚えています。その頃はデビューして3〜4年の時期で、芸能の仕事もまだそれほど経験がなく、緊張しました。震災直後で発信できる手段が少なくて大変な時期に、自分の声を伝えることができる貴重な機会をいただきました。

「少しでも元気になってもらえれば」と、応援になるような曲を流して。その後、「Kissラジ!」が私一人の「YUKIRIN TIME」になる形で、2012年10月に単独MCの番組がスタートしました。

──柏木さんはそれまで、ラジオと関わりがあったのでしょうか。

母は専業主婦なんですけど、家事をしながらラジオを聴いていたんです。だから、小さい頃は家の中で、地元の鹿児島の情報番組がよく流れていましたね。

あとは、私はアイドルが大好きなので、自分が好きなアイドルのラジオを深夜、すごくがんばって聴いていました。ラジオは遠い存在ではなかったかもしれないです。

ファンが愛する「リコーダー」企画の裏側

──「YUKIRIN TIME」の企画と言えば、「食べ物」と「リコーダー」でしょうか。

たしかに、その二つが出てくることが多いですね。ずっと柿の種を食べているだけの回とか、リコーダーを吹いているだけの回とかもあります。番組のテイストは初期からほとんど変わっていないです。めちゃくちゃしょうもないことをずっとやっています(笑)。

──リコーダー、お好きですよね。

そうなんです、私はリコーダーが本当に大好きで。小学校の頃、大抵はリコーダーをいちいち持ち帰らずに学校に置いておきますよね。でも、私はリコーダーをわざわざ持ち帰って、家で吹いていたんです。もともと音楽に力を入れている幼稚園に通っていて、小・中学校では吹奏楽部だったこともあります。

先日の放送では鍵盤ハーモニカも登場して、どんどんこう、広がっていくんです、リコーダーを軸に(笑)。

──軸はあくまで「リコーダー」なんですね(笑)。企画はどのように決まっているんですか。

ラジオなので、もちろん構成作家さんと相談するんですけど、私の番組だと収録中に、「これ次の回でやりましょうよ」「これはもうちょっと話したい!」と、その場で決めちゃうこともあります。

一通のメールから企画にして、一本の番組になることもありますし、何をやったら楽しいか、公開企画会議みたいにリスナーの方と相談したりすることもあります。番組上でどんどん企画が決まっていく形ですね。

──インタラクティブで、実は柏木さんの番組は、ラジオの王道ですよね。

たしかに、リスナーさんありきの番組ですね。

こういう番組なので、リスナーの方は私のファンの方が多いと思うんです。私は最年長なので、グループの中にも新しいメンバーがいっぱいいます。ファンの方は、その中でも私を選んで応援してくれているので、信頼関係があるというか。

毎回、聴いてくださる方は私のいじり方もわかっているので、その関係性の中では安心していじり返せます。もちろん、初めて聴いてくれる方にもわかりやすくしないと、ということもいつも思っています。

あと、最近はラジオをネットニュースにしていただくことも多くなってきて、新鮮ですね。

──新鮮、と言いますと……?

AKB48自体が今年の12月で15周年を迎えるので、とてもありがたいことなんですけど、グループの存在を知らないという方は、もう少ないかもしれません。私もそこに所属して、ある程度、みなさんに知っていただいている状態で、いつもはファンの方に向けて活動しています。

でもそうすると、グループや私の「名前くらいは知っている」という方が、自分たちのどんな話題に興味があるのか、わからなくなるんです。一方、アイドルのお仕事をしているからには、やっぱり、一人でも多くの方にグループのことを知ってほしい。そうすると、ネットニュースによって「あっ、世間のみなさんは、こういうことに興味があるんだ」というのを知るというのが新鮮で、とても勉強になるんです。

テレビもラジオも「自分らしい話し方」で

──グループでのアイドル活動と、一人でのラジオMC。感覚は違いますか。

ラジオはかなり早い段階から、全然、緊張しなくなったんです。

AKB48のグループとしてのお仕事は10年以上やっているので、さすがにもう緊張しません。でも、一人でコンサートをしたり、一人でバラエティ番組に出演させていただいたり、グループとしてではなく一人だと今でも緊張してしまって。

逆に、ラジオは私にとって「ホーム」なんでしょうね。聴いてくれているのはファンの人だから、ファンの人が楽しんでくれればいいと早めに思うようにして、そこからは気負わず、同じスタンスでやっているので。

それに、実は私、テレビもライブMCもラジオも、最近スタートしたYouTubeチャンネルも、わりと同じ様にしゃべっているんです。

──言われてみると、たしかにこの取材も、柏木さんらしいお話のし方で一貫しています。

自分以外の「〇〇らしい話し方」に、自分を当てはめるのは窮屈だと思ったんです。

ラジオって、枕元に置いたり、イヤホンで聴いたりするものじゃないですか。「1対1でその人に語りかける感じでいきましょう」みたいな暗黙のルールがあると思うんですけど。MCを始めた頃、ちょっとやってみて「向いてないな」と思って(笑)。

例えばTOKYO FMで放送されている他の番組のように、ゆっくり、落ち着いたパーソナリティの方の話し方って、すごく素敵だなと思うんです。私もよくラジオを聴くので。でも、自分がするにはちょっと合わなくて。

──深夜帯の番組にしては、YUKIRIN TIMEの柏木さんはたしかに元気です。

そうなんです(笑)。「深夜のラジオはこうあるべき」みたいなことよりは、楽しかったり、おもしろかったり、笑えたりする方を意識するようになりました。

一方で、やっぱり「ラジオだとしゃべっちゃう」ということはありますね。テレビでは言わないようなことが言えるとか。ラジオって話しかけている相手の顔が見えない、ちょっと特殊な環境じゃないですか。他のどんな仕事よりも素でしゃべりやすい。一人でやるラジオは素が出てます。

『アッパレやってまーす!』(MBSラジオの水曜日レギュラーとして出演)の方は、他のタレントさんや芸人さんたちもたくさんいるので賑やかですから、一段ギアを入れないといけないので、テレビに近い感じもありますけど。

──過去に別の取材でも感じたのですが、柏木さんはトークの切り返しが上手ですよね。

本当ですか? ありがとうございます。もしそうなら、それはAKB48で学んだことかもしれないですね。握手会をたくさんしてきているので。

握手会ってすごいんですよ。たくさんの人と、それぞれ短い時間でコミュニケーションを取るので。やっぱり、みなさんに来てよかったって思ってもらいたいと思いながら握手会をしてきています。

10年以上、ちょっともう数え切れないくらい、ずっと握手会をしてきているので。上手になるのかもしれないですね。

──ラジオを続けていて、身についたことはありますか。

私はコンサートのMCがちょっと苦手だったんです。大体、曲の話とか、「コンサートのMCらしいこと」を話さなきゃいけないと思っていたので。そうするとどうしても、話すことがなくなってしまって。

でも、途中で「これは私が私らしくしゃべる時間だ」って思えるようになったんです。それは、ラジオの経験があったからですね。

だから今は、コンサートとは関係ない日常のことを話しています。ファンの方とステージと客席でやりとりをすることもあります。これはラジオで身についたことですね。

柏木由紀(かしわぎ・ゆき) アイドル・女優。1991年鹿児島県鹿児島市生まれ。アイドルグループ・AKB48メンバー、3期生。ニックネームは「ゆきりん」。2007年シングル『BINGO!』で初選抜入り。2013年1月テレビ東京系ドラマ『ミエリーノ柏木』で初主演。同年2月シングル『ショートケーキ』でソロデビュー。2016年舞台『マジすか学園 〜Lost In The SuperMarket〜』で主演。2018年大河ドラマ『西郷どん』に西郷吉二郎の妻・西郷園役で出演。今年2月にはYouTubeチャンネル「ゆきりんワールド」を開設。3月18日(水)にはAKB48の57枚目となるシングル『失恋、ありがとう』が発売となる。
AKB48
57thシングル「失恋、ありがとう」
<Type A>【初回限定盤】(CD+DVD):KIZM-90659〜60 ¥1,699(税込)

●TOKYO FM / JFN「柏木由紀のYUKIRIN TIME」
https://www.tfm.co.jp/yukirin/

●MBSラジオ「アッパレやってまーす!」
https://www.mbs1179.com/yaru/

●YouTubeチャンネル「ゆきりんワールド」
https://www.youtube.com/channel/UCubbFOa0eUCWQD8sbmQXwOQ

●AKB48 KING RECORDS official website
https://akb.kingrecords.co.jp

●AKB48公式サイト
https://www.akb48.co.jp

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