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トリプルアクセルを跳ぶコツは… 紀平梨花

※本記事は2018年12月7日に朝日新聞デジタルで掲載されました。

竹内由恵 戦士のほっとタイム

フィギュアスケート女子で、今季シニアデビューした紀平(きひら)梨花選手(16)。女子では数人しか跳べないトリプルアクセル(3回転半)を武器に世界に挑みます。シーズン前にインタビューしました。

「今季のテーマは笑顔。笑顔を忘れないようにしたら、いい結果がついてくると思う」=浅野有美撮影

──調子はどうですか。

いいです。ふふふ。

──いよいよグランプリ(GP)シリーズに初出場しますね。アピールしたいのは、やはりジャンプ?

トリプルアクセルを跳べるのは、自分の強みです。でも、まずはノーミスで、たくさんの観客の中で最大限の演技をしたいです。

──いま試合で3回転半―3回転トーループの連続ジャンプを跳べる女子選手はいない、といわれています。

私の場合は、たくさん練習することで、跳ぶための筋力がつきました。壁にぶつかったときは、失敗の原因をしっかりと分析しました。成功の確率を上げるのに苦労しましたが、観客の前で一発で決める場面を想定して練習したのもよかったです。

──うまく跳ぶコツとは。

踏み切るときの右足の感覚を大事にしています。タイミングがいいときの音や体の動きを染みこませ、そのときのイメージで跳ぶようにしています。

5歳から教室に

──感覚の世界ですね。

そう、(動きを再現しながら)キュッとして、シュッと回転します(笑)。

──失敗のリスクがあるのに、なぜ難しいジャンプに挑戦を。

トリプルアクセルを跳ぶには、時間と経験が必要。時間をかけて習得したので、それを無駄にしたくないし、トリプルアクセルを見て、「すごい!」とみんなに思ってもらえるので跳び続けたいです。

──フィギュアスケートを始めたきっかけとは。

3歳くらいのとき、母、姉とスケート場に遊びに行って。姉が上手で、追いつきたいと思って練習しました。5歳から教室に入りました。

──運動神経がよかったそうですね。

幼稚園のときに、跳び箱で8段を跳べました。片手で側転もやっていました。かけっこも11歳のときの50メートル走は7秒8。バレエやダンス、体操、ピアノなども習っていました。でも、水泳と球技はちょっと苦手かな。

──いろいろな選択肢がある中で、なぜフィギュアに。

上達していくのが、楽しくて。試合に出るようになってからは、次はこういう演技がしたいと思うようになりました。ジャンプを跳べることが達成感につながって、チャレンジしようという気持ちが湧いてきます。試合で勝って、喜んでくれる人もいる。それがうれしいです。

──前向きですごい! フィギュアが好きで、楽しんでいるんですね。

試合前も、リラックスするようにしています。不安なことは母に聞いてもらい、自信をつけるようにしています。それと、過去のよかった試合やミスのなかった練習の演技のビデオを見るようにしています。

平昌刺激受けた

──いつかは4回転ジャンプに挑戦するんですか。

今、練習では跳んでいます。女子も4回転の時代がくると思うので、もっと練習していきたいです。最近は4回転の練習で、(男子の)羽生結弦選手の映像を見ます。流れと幅があって、出来栄え点(GOE)がたくさんもらえそうなジャンプです。

──ジャンプのためにどんなトレーニングを。

体幹を鍛えています。腹筋と背筋、側筋のトレーニングはほぼ毎日やっています。

──筋肉がついてそう。

(腹筋は)割れています。

──その努力の先にある目標は、やはり……。

五輪で優勝することです!

──2月の平昌五輪のフィギュアでは、日本選手の活躍が目立ちましたね。

宮原知子選手の演技は刺激になりました。同じリンクで練習していて、頑張っているところを見ていたので、すごくうれしかった。羽生選手の五輪2連覇も、すごく努力してきたんだろうなと思いました。そういう選手を見習いたいです。

まっすぐな目、夢に向かって(取材後記)

一度も足を崩すことなく背筋をピンとのばして答えてくれた紀平選手。恥ずかしそうに話す姿には16歳らしさを感じましたが、目標を語る時には一切迷いがないんです。「自分は何事も諦めない性格」と視線はまっすぐ。趣味は音楽鑑賞でback numberやAAAが好き。でも頭はスケートのことでいっぱい。夢に向かって頑張って!



きひら・りか 2002年7月21日生まれ。兵庫県出身。関大ク所属。16年、ジュニアグランプリシリーズで、女子史上7人目となるトリプルアクセル(3回転半)ジャンプを成功させた。昨年の全日本選手権3位。平昌五輪は年齢制限で出場資格がなかった。

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