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教育現場、キラキラ見えたけど… 転職して片づけプロに

※本記事は2020年7月20日に朝日新聞デジタルで掲載されました。

公立小学校の教諭を辞め、教育現場の片付けの「指南役」として独立した男性が名古屋市にいる。学校の不用品整理は教員の「働き方改革」にもつながると説き、今年2月にこれまでの取り組みを本にまとめ、全国の教職員から反響があったという。片付けと働き方改革はどうつながるのか。

丸山瞬さん(33)は今年3月、3年間務めた名古屋市立小学校の教諭を辞めた。現在は「学校整理収納アドバイザー」の肩書で活動している。在職中から学校の不用品整理の意義をブログで発信し、テレビや雑誌で紹介されていた。

「私生活で片付けは得意じゃない」という丸山さんだが、学校の整理整頓に関心を抱いたきっかけは、教諭になる前の講師時代にさかのぼる。

「憧れていた教育現場で最初は全てがキラキラして見えたけれど、次第に変えた方がいい点が目につくようになった」。例えば、教材準備室が使われなくなった物であふれ、必要な物を見つけるだけで一苦労した。そうしたことが重なるうちに、自主的に備品の整理整頓や不用品の片付けをするようになったという。

教諭となって3年間働いた学校では、管理職や同僚らの理解を得て、より本格的な取り組みを始めた。まず、明らかに壊れて使えない古い備品などを処分。使い道が分からない品は職員室の出入り口に3日間置き、誰からも必要と言われなかった物は捨てるか場所を移すかした。

人の動線を意識して備品のレイアウトも変えた。印刷機のすぐ近くにクリップなどを収納した文具入れと作業台を並べ、プリント作成時などに何度も行き来しなくてもいいようにした。

子どもたちの力も借りた。運動場倉庫では、1年生や外国籍の子も分かりやすいよう、A3サイズのカラー写真でボールが正しく分類された状態を示した。

「不要な物を減らすことで、それらを管理する手間や探すための時間が大幅に減らせるという意識が共有できた」。校内が目に見えてきれいになって快適になると、片付けに協力してくれる仲間も増えていった。

著書「職員室のモノ、1t捨てたら残業へりました!」を手にする丸山瞬さん。閉校した小学校を改装した建物にあるベンチャー企業でも働いている=2020年7月1日午後3時4分、名古屋市西区、佐藤剛志撮影

1トン捨てたら残業減りました

片付けの徹底は効率的な働き方の追求につながっていく。学級ごとにバラバラだった手作りの教材を学年単位で共有し、作成時間を大幅に削減できた。学校行事も見直した。準備に時間がかかるのに本番は45分で終わる校内祭りをやめ、代わりに複数の学年間で交流する催しを定期的に開いた。

「教員の働き方改革」が全国的にクローズアップされたこともプラスに働いた。「学校の仕事は全て『教育的な意義』があるからやめるのが難しいけれど、どこかで優先順位をつけないといけない。まずは『見直してみよう』と言い出せる雰囲気を作ることが欠かせない」と語る。

昨秋に民間資格「整理収納アドバイザー1級」を取得し、今年2月には著書「職員室のモノ、1t(トン)捨てたら残業へりました!」(学陽書房)を出版した。全国の教員らから反響があり、大きな手応えを感じた。本をきっかけに、同様の取り組みを始めようと呼びかけた他校の人もいたという。

現場の教員には「学校には受け身の人が多いが、何かを変えたいと思ったら、ただ待っていてはいけない。結局は自分で変えていくしかない」とアドバイスする。

丸山さんは現在、二つの仕事を掛け持ちしている。午前中は市立小学校で教員の事務作業の補助などを担う「スクール・サポート・スタッフ」として新型コロナウイルス感染防止作業をするほか、片付けの実践的なアドバイスをしている。午後は、閉校となった小学校舎を利用したベンチャー企業の活動拠点「なごのキャンパス」(名古屋市西区)内の企業で働く。

「教員の長時間労働を減らすには、片付けというアナログな手法と、教育手法を変えるアプリケーションの開発というデジタルでの取り組みの二つがあると思う。今度は新しいアプローチで教育現場を変えていきたい」と話す丸山さん。学校整理収納アドバイザーの活動を続けながら、教育アプリを開発するスキルを身につけようとしている。(佐藤剛志)

旧・那古野小学校の建物を改装したベンチャー企業の活動拠点「なごのキャンパス」の外観。2019年10月に開業した=2020年7月1日午後1時55分、名古屋市西区、佐藤剛志撮影

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