Presented by サッポロビール株式会社

サッポロビール博物館 渋沢栄一の新紙幣「非常に光栄」

※本記事は2019年4月10日に朝日新聞デジタルで掲載されました。

2024年度上期をめどに刷新される1万円札の顔に、数多くの企業の創設にかかわった実業家・渋沢栄一が選ばれた。道内のゆかりの施設や企業からも喜びの声が上がっている。

サッポロビールなどによると、同社の元になった「札幌麦酒会社」は官営の醸造場が民間に払い下げられた後、1887(明治20)年に渋沢らが設立。その後身会社は東京に進出した。札幌だけでは市場が狭く、いち早く大消費地東京を見据えたのは渋沢の影響があったといい、1903年には東京工場ができた。「渋沢のおかげで北海道の一企業が東京の大手を相手に打ってでようという心構えができた」とサッポロビール北海道本社の岩田邦彦・北海道戦略営業部長は言う。

札幌市東区のサッポロビール博物館は、そんなビール産業の歴史も紹介している。住吉徳文館長は「国民生活にかかわりの深い1万円札の顔になるというのは非常に光栄」と話す。渋沢について「事業には私利私欲でなく倫理観を持って当たらなければいけないというポリシーを持っていたことを尊敬する」と話す。渋沢の著書「論語と算盤(そろばん)」は「私のバイブルの一つです」。

2016年にリニューアルした同館は年々来館者が増え、18年は約47万人が訪れた。6~7割は外国人観光客が占めており、「これを機に、地元を含む日本の方々も興味を持って少しでも多く来てもらえるよう工夫したい」と話した。

サッポロビールは「ビール産業をはじめ、現在の日本企業の礎をつくられたことに、改めて深い感謝と敬意の意を表します。当社とゆかりある人物が、国民の生活に広く関わる新紙幣にデザインされることは、大変感慨深い」とのコメントを発表した。

「北の商都」として栄えた小樽市内にも、渋沢ゆかりの建築物がある。小樽市色内1丁目の旧第一銀行小樽支店。前身は渋沢が頭取を務めた第一国立銀行だ。鉄筋コンクリートの4階建てで、1924(大正13)年に建てられた。

小樽運河沿いの2棟の倉庫は、渋沢が創業した渋沢倉庫が現在も所有する。倉庫壁面の鼓形の社章が特徴。同社は15年に小樽出張所を開設し、25年にこの倉庫を取得したという。当時は港に出入りする船荷を預かる倉庫として使われ、現在は飲食店が入っている。運河北側の「旧渋沢倉庫」も使っていた。

小樽市総合博物館の石川直章館長は「異業種の銀行や倉庫が残るのは多種多様な事業を手がけた渋沢らしい。当時、渋沢は投資家として小樽に目をつけ、おさえておくべき場所だったのだろう」と話した。(片山健志、佐久間泰雄)

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