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芸人と「お酒」はエンターテイナー 「凹んだまま飲みに行くことはない」納言・薄幸さんが徹底するポリシーとは

2019年からネタ番組の常連となり、今もっとも勢いに乗る男女コンビ「納言」。革ジャン姿のボケ担当・薄幸(すすき みゆき)さんは、「小岩の女は膝小僧がきたねえな~おい」など“街をディスる”芸風で注目を浴びるなか、一日24本の発泡酒を飲む酒豪としても知られています。

そんな幸さんは「お酒に逃げる飲み方」をせず、芸人仲間と仕事について語ることが多いそうです。具体的にはどんな話をしているのでしょうか。くりぃむしちゅー・有田哲平さんが信頼できる理由、後輩芸人にまつわる失敗談など、「お酒×お笑い」を通して幸さんのパーソナルな部分に迫ります。

制作:すずきあきら+朝日新聞デジタルスタジオ
撮影:栃久保誠

早朝6時、カズレーザーの「奇行」

──白ビール、発泡酒に続いて飲むのが「紅生姜サワー」。梅干しじゃなく、紅生姜を入れるのって、あまり見ない組み合わせですよね。

ですよね。(ゴクッと一口飲んで)あ~飲みやすい! これは、高円寺の高架下の居酒屋で飲んでから好きになって。意外と出してる居酒屋があるんですよ。

──お店で知った味だったんですね! このお酒から連想する芸人さんは?

赤だし、ちょっと珍しいし、カズ(カズレーザー)さんにしか見えないな(笑)。カズさんは、フカミドリの矢巻(駿)さんとトレンディエンジェルのたかしさんと三人でルームシェアしていて。あたし、週5ぐらいでその家に泊まってるんですよ(笑)。共演したのは一回ぐらいなんですけど、実はめちゃめちゃ仲いいんです。

カズさんは優しいけど、本当に不思議な人ですね。たとえば朝起きてリビングに行ったら、けっこうな数のCDをテープでつなげていたときがあって。「なにやってるんですか?」って聞いたら、「その姿を絵に描くと疫病を退けてくれる」妖怪・アマビエのコスプレをしようとしてる、って。アマビエのウロコを、CDで表現しようとしてたんですよ。しかも、休みの日の朝6時ぐらいに(笑)。

──休日の早朝! 何事かと思いますよね(笑)。

絵を描くんじゃなくて、そのものになろうとするところがカズさんなんですよ。最後に仮面みたいなものを被ってから、「写真を撮ってくれ」と頼まれたので、一応あたしも協力して。その写真をSNSにアップしてから「おやすみ」って寝ちゃいました。なんの仕事でもないし、たぶんCDもそのために買ったんですよ。そういうのがすごく多いですね。

反省は楽屋まで。凹んだまま飲みには行かない

──納言はここ2年のM-1グランプリで準々決勝に進出するなど、賞レースでも結果を残していますよね。コンビの息が合ってきた感覚はありますか?

いや、特にないですよ。あたしは一人で売れようとしてますから(笑)。賞レースの結果も、安部(紀克)のおかげとかは一切思ってないですね。ネタも10対0であたしがつくってるし。

けど、あたしは「食リポ」が苦手なので、そこは助かってます。それと地図も読めるから、集合場所に連れてってくれるのはありがたい。まぁそれくらいかな。ストレスはないですよね、飲み友なので。

──相方というより、飲み友という感覚なんですね(笑)。「今日はスベッたな~」っていう時もあると思うんですが、そういう時はお酒を飲んで忘れられるタイプですか?

あたしはお酒に逃げることはなくて、仕事がうまくいこうがスベろうが、休みの日だろうが「酒を飲めばうまい」ってだけですね(笑)。基本的に仕事後は反省するんですけど、スタジオから楽屋までの一瞬で終わり。次の日まで引きずったのは、『お笑い向上委員会』の一発目で失敗したときくらいだと思います。

ただ、収録終わりに反省点があったら、携帯に「次はこうしよう」ってメモはします。たとえば「一回イジられて、二回目きた時に返せなかった」ということがあったら、そのメモを収録前に見返してちゃんと準備しとく、みたいな。それをやったら「もうおしまい。飲み行こう!」と、切り替えます。凹んだまま飲みに行くことはないですね。

熱燗の出汁割りは「おじさんの味」がする

──最後に飲むのが、熱燗とおでんの出汁割り。この飲み方は、どちらで……?

おでんじゃないんですけど、「出汁割り」を出しているお店があったんですよ。たしか地元の柏だったと思うんですけど、飲んでみたらすごく美味しくて。店主に「おでんの出汁でもできる」と聞いて、家で試してみたって感じですね。

──熱燗と出汁、それぞれどれぐらいの割合が美味しいんですか?

出汁6、熱燗4ぐらいが飲みやすいと思います。(少し口にしてから)うわぁ~うまい! 本当に優しい味なんですよ。カニ味噌を食べた後の甲羅にお酒を入れるみたいな。冬とか季節関係なく、おでんをつくったら飲んでます。

──ちなみに、この味わいを芸人さんにたとえるなら?

優しい味って考えると……わらふぢなるおのふぢわらさん、トム・ブラウンの布川(ひろき)さん、インディアンスの田渕(章裕)さん、ずんのやすさんとか、そのあたりですね。優しいおじさんの味がします(笑)。

くりぃむしちゅー・有田哲平を信頼している理由

──レギュラー出演する『有田ジェネレーション』の打ち上げでは、司会の有田哲平さんからアドバイスをもらったりすることもあるそうですね。

すごくたくさんあって、全部携帯にメモしてますね。たとえばネタの中で、「おじゃましまぁす」って安部についていく箇所があるんですけど、ついていった後に、お客さんに背を向けちゃっていると。それで、「もうちょっと見やすいようにしろ」ってアドバイスをもらうこともありましたね。

──かなり具体的なアドバイスですね。あるインタビューで幸さんが「有田さんの番組にもっと出たい」とおっしゃっていましたが、有田さんのどのあたりを一番信頼していますか?

『アメトーーク!』に初めて出演するタイミングで、ほかの番組に有田さんが出てたから、楽屋挨拶に行ったんです。そしたら、「え、『アメトーーク!』出るの!? よかったねぇ~、すごいね!」って自分のことみたいに喜んでくれて。そういうところですかね。

『有田ジェネレーション』のレギュラーが決まって、すぐに『脱力タイムズ』に出させてもらったのも本当に優しいし。もちろん、ほかにも頼りになる先輩はいるんですけど、有田さんは「力を持っている」ので(笑)。

番組でちゃんと納言を紹介してくれたりすると、「あ、本当に面白いと思ってくれてるんだな」って感じるじゃないですか。目に見えて番組の出演が決まったりするし、こっちとしては信頼しかないですよ。

芸人とお酒は、みんなを幸せにするエンターテイナー

──今後、後輩芸人が続々と増えていくと思います。幸さんご自身は後輩にどんな背中を見せていきたいと思いますか?

やっぱり自分が先輩たちにおごってもらったので。その分、後輩たちに還元してあげたいですよね。ただ、あたしが連れまわし過ぎると問題もあって。

唯一かわいがってる後輩にポンループのアミって子がいるんですけど、一時期めちゃめちゃ飲みに連れてったんですよ。そしたら肝臓を悪くしたみたいで、「しばらく飲めないです」って言われちゃって(笑)。それから一人の後輩じゃなくて、たくさん誘っておごってあげようと思いましたね。

ただ、後輩からアドバイスを求められるのは苦手なんですよ。今もたまにあるんですけど、「わかんない、わかんない」って答えてます。あたしは先輩に相談するけど、後輩からされるのは嫌だっていう(笑)。

──おごるけど相談はしないで、と(笑)。最後に、芸人とお酒に共通するものってなんだと思いますか?

「エンターテイナー」であるところかな。どっちもみんなを幸せにしますもんね。あたしはお酒があるから仕事を頑張れているし、一日のゴールがお酒って感じなんです。本当に生活の一部。お酒以上の幸せって、もう「母の愛」レベルだから(笑)。

ただ、地元の友だちとはまったく飲みに行かないんですよ。ほとんどが芸人で、たまにスタッフさんぐらい。単純に楽しいし、仕事の話もできるし、芸人の先輩がいたら相談もできるし。飲んでるときの話題がお笑いしかなくなってる。だから、もうお笑いとお酒って、あたしにとってはセットなんですよ。

納言・薄幸(すすき・みゆき) 1993年1月24日千葉県柏市出身。趣味は飲酒・タバコ。特技は効き発泡酒。2017年1月に安部紀克と「納言」を結成。2019年5月に『有田ジェネレーション』のレギュラーを獲得して注目を集める。その後、『アメトーーク!』『有吉の壁』など、さまざまなバラエティ番組に出演。2020年4月からTBSラジオで冠番組『納言のイチナナゴン!~17Liveでおいしゃーす~』がスタート。活躍の場を広げている。太田プロダクション所属。
すずきあきら フリーランスの編集/ライター。元バンドマン、放送作家くずれ。エンタメ全般が好き。特にお笑い芸人をリスペクトしている。個人サイト「不滅のライティング・ブルース」更新中。http://s-akira.jp/

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